ホップ通信

醸される場・Hostel&Bar CAMOSIBAオーナー阿部円香さん

ここを訪れる人と地元の人が出会うことで、化学反応が起こって、人の繋がりが醸されてくれたらと願いを込めたHostel&Bar CAMOSIBA(カモシバ)のオーナー阿部円香さん。

CAMOSIBAは元お茶屋さんだった蔵の部分が発酵バルに、母屋の部分がゲストハウスとなっています。

 

帰郷して6年目。秋田好き歴2年。

 

円香さんは横手で100年以上も続く麹屋の娘として育ち、大学進学を機に上京。
学生時代に休学し約30カ国を旅したのち、大学卒業を機に帰郷しました。

 

実は、円香さんは横手を出たくて出たくて東京の大学を選んだそうです。
嫌い、とまではいかなかったものの、地元への愛着はなく、大学卒業後もそのまま東京で就職しよう。
と思っていたとのこと。

 

しかし、30カ国を旅したのち、帰国後の就職活動中、頭によぎったのは地元秋田や家業の存在。

なんとなく、、、、いつか帰るんだろうなーという思いがあった中、恩師がかけてくれた「いつか帰るんだったら、今帰って好きなことやった方が面白いんじゃない?」という言葉に背中を押され、自分にしかできないゲストハウスを作りたいという想いとリンクして帰郷を決意しました。

帰郷後、ここでしかできない、自分にしかできない、ゲストハウスを目指して奔走。
秋田県では珍しい「ゲストハウス」という様式で県内外から注目されていましたが、、、
実は、その頃は秋田が好き!とは胸はって言えなかったそうです。

秋田大好きっ子!地域を盛り上げるために頑張ってる子!的に紹介されてたけど、自分の周りを中心に楽しくしたい!って感じだったから、ちょっとプレッシャーでした。

と苦笑い

このモヤモヤした想いは意外と長引いていましたが、、、
2019年5月ごろのある日、車の運転中、信号待ちの時。

 

車の窓から見える景色が涙が出るほど綺麗で。
どこかのお父さんとお母さんが田植えをしてて、雄大な田園が広がっているその先には山々が見えて。
それはなんてことのない田植えの景色だったんだけど。
でも、その時、これが心底尊敬している天の戸の森谷杜氏が体現している秋田なんだ。って思えて。
ああ、私はこの景色が、秋田が大好きだ。
とストンと心にはまったんですよね。
今では「秋田大好きですっ!」って胸張って言えるんです。
だから秋田好き歴2年(笑)

 

とちょっと照れ臭そうに笑って話されていました。

ちなみに。

 

この後、数ヶ月後に森谷杜氏は急逝され、「私、秋田大好きって胸張って言えるようになりました!」
と伝えられなくて。それがすごく残念。

とも。。。

私にしかできない地元産の掛け合わせ

 

CAMOSIBAを作る前から横手でホップを生産していることは知っていたので、いつかは横手産ホップでビールを作りたい。
と漠然と思っていたそうです。

しかし、ここでCAMOSIBA特有の化学反応が起きました。

CAMOSIBAを訪れるりんご農家さんからいただいたリンゴは種類も豊富でクオリティが高く、さらに、農家さんのチャレンジしていく姿に触発され、彼らのりんごで何かを作りたい!と思い始めた円香さん。

そこにハードサイダーとの出会いがありました。

ハードサイダーとは林檎を醸造させて作る発泡酒のことで、もともと、リンゴ産地の多いアメリカでは日常的に気軽に飲まれているお酒です。
日本では、フランス語の「シードル」という呼び名でも親しまれています。

りんごやホップ、地元の素材がたくさんあるのが横手の強み。
これらを掛け合わせれば、きっと面白いものができる。
目指すのは甘くなく、日々の生活の中で飲めるハードサイダー。
そもそも、、、クラフトビールはすでにたくさんの人が作っていて、私じゃなくても作れるでしょ?
横手産ホップ「IBUKI」×横手産のりんごのハードサイダーはきっと私にしか作れない。と思っちゃいました。

簡単なようにおっしゃりますが、、、、色々と壁があったはず!
でも、円香さんは、行動力が伴う実力派。
CAMOSIBAを1ヶ月閉めて、アメリカのオレゴン州にある醸造所にハードサイダー留学をしたり、スタッフの1人を弘前の醸造所に研修生として派遣したりして、自社醸造所のオープンに向けて奮闘中!
現在はクラフトブルワリーに醸造を依頼し、企画監修を行い、さまざまなハードサイダーを作っていますが、近い将来、CAMOSIBAで醸造されたハードサイダーが楽しめそうです♪

常に楽しいことを目指し、努力しつつ、人と人をつなげて化学反応を起こしたいと願う円香さん。
円香さん自身もここに集う人たちと化学反応を起こして、常に進化しているようです。
あなたもCAMOSIBAを訪れて醸されてみませんか?

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